プーケットでリゾート



本当のリゾートを求めて

「思いっきりリゾートしたい」そう思っていた。だから母親が「お正月にハワイへ行こう」 と言ったとき、すかさず「プーケット」を推した。ハワイは確かににぎやかだ。 しかし、観光、買い物、日本人と、どうも私のイメージするリゾートとは違う。 本当のリゾートとは、観光も買い物もしない、年末年始のTV番組もない、日本人もいない、 そんな場所で、何もしないでボーっと過ごすことなのだ。 プーケットはタイの南部にある有名なリゾート地である。プライベートビーチのある超高級 リゾートホテルが立ち並ぶ。私のイメージするリゾートとを味わうことができるに違いない。 ハワイに未練を残す母親を説得し、強引にプーケットに決まった。

予約

滞在型の旅行では、ホテル選びがポイントだ。プーケットは、ヨーロッパからの観光客が多い。 しかし、ホテルによっては、日本人が80%も占めるところがあるそうだ。できればこれは避けたい。 せっかく海外に行っても、回りが日本語だらけでは、幻滅である。ただし、私は英語は得意ではない。 手振り身振り苦労するのも、海外旅行の楽しみだと思っているだけだ。 また、ランクの低いホテルだと設備や安全性が落ちる。4泊5日も過ごすのだからホテルは 妥協したくないものだ。 しかし、この時期、ホテルを選ぶどころか予約をとるだけでも大変だった。 旅行会社には発売開始前に予約を入れたもかかわらず、最初の回答は「取れません」。 キャンセル待ちを依頼し、OKがでるまでに1ヶ月もかかった。 結局、ホテルは「Dusit Laguna」。旅行会社のパンフレットに記載されていないが、 説明を読む限りは良さそうなホテルである。 そして、飛行機はエグゼクティブクラス。贅沢だが仕方が無い。これしか取れなかったのである。 ちなみに、これでもハワイに行くよりは安くつく。やっぱりお正月にハワイへ行く人たちはリッチだ。

出発

激動の1995年も終わりに近づく30日、たざわファミリー、プラス、私の母と祖母は、関西 国際空港からタイに向けて旅立った。最年少のあすか(1歳)から最年長の祖母(87)まで、 年齢差86歳、母子4代の変な一行である。ちなみに私の父親はタイ関連の仕事をしており、 ちょうどこの時期タイに滞在していた。向こうで数日合流できる予定だ。 それにしても、こんなサザエさん一家のような旅行に、文句も言わずつきあってくれた おとうさんに感謝。

到着

タイまで直行便で約6時間。時差は2時間なので、計8時間後にタイのバンコックに到着。 そこから飛行機を乗り継いで、さらに1時間。ようやくプーケットに到着。丸一日かけての 移動である。 現地時間はすでに夜。気温はさほど暑くなく、Tシャツとジーパンという服装が快適である。 到着ロビーを出ると、現地の旅行会社から派遣されたガイドが待っていた。 タイ人の男性だが、カタコトの日本語で話かけてくれた。こちらの話もほとんどわかるようだ。 しかし、車に乗り込み最初に言われた言葉は、「今夜のホテルが変わりました」だった。ガ〜ン。 文句を言おうとしたら、すかさず旅行会社からの手紙を渡された。 日本語のきれいな手書きの手紙だった。その丁寧な言葉使いと、「お詫びにフルーツバスケットと ディナーをサービス」という言葉に、私の怒りは静まった。現金なものだ。 「Dusit Lagunaと同じクラスね」とガイドは言った。

ホテル

着いたホテルは、日本でよくありそうな普通のリゾートホテルだった。変なホテルではないが、 特に「すごい」という印象はない。明日からのホテルもここと同レベルだとしたら、 ハズレかもしれない。少し不安になった。 翌日、12時のチェックアウトを済まし、Dusit Lagunaに向かう。旅行会社の車は、TOYOTAのバンだ。 それにしてもプーケットの交通はすごい。まず交通標識がない。制限速度も無いのか、 皆それぞれのスピードで走っている。左側からすごい勢いで追い越されたりする。 また、バイクがやたらと多い。ヘルメットをしている人はほとんどいない。 原付に4人乗って駆け抜けていく家族もいる。 20分ほどで「Phuket Laguna」という看板の敷地内に入った。喧騒とした市街から、突然別天地に 変わった。「ラグーナ(Laguna)」とは「内海」の意味。アンダマン海とラグーナが交差するこの一帯は 、その自然の美しさを利用して高級リゾートホテルが点在している。その1つがDusit Lagunaだ。
Dusit Lagunaに到着。まっすぐの廊下をぬけるとそこはいかにも南国らしいロビー。 頭上には大きな扇風機、藤の椅子、仏像。そして、メイン階段の下は太陽の光を浴びた緑の木々。 青々とした水をたたえるプール、そして、その向こうには白い砂浜とアンダマン海が広がる。 エアコンのきいたレセブションに案内される。ガイドがチェックインの手続きを行っている間、 オレンジジュースが配られる。そのおいしいこと!絞りたてのオレンジは、疲れを一掃してくれる。 「昨夜のホテルとはぜんぜん違う」ガイドの言葉はうれしい間違いだったようだ。

タイの民族ショーと象

初日のうちに観光をすることにした。プーケットと言えば、007のロケ地になったことで有名な バンガー湾観光やピピ島観光に人気がある。しかし老人と赤ちゃんがいるので、あまり遠くへは 行けない。そこで、タイの民族ショーと象のショーを見に行くことにした。 これなら移動時間もあわせて3時間ほど。ゆうかは象さんに会えるということで大喜びだ。 ショーは完全に観光客向け。1時間弱の間に、タイの伝統芸や踊り、結婚式、タイ式ボクシングなど、 盛りだくさんに見せてくれる。この手のショーはバンコクにもあるが、プーケットにしか滞在 しない人にとっては、手短に観光ができて便利だ。民族ショーの後はおまちかねの象のショー。 象のサッカーや、ダンス、水かけなど、なかなか楽しませてくれる。10バーツ(約42円)でバナナを 買って食べさせてあげるのもいい。
最後に50バーツ(約210円)で、象に乗ることができる。ゆうかは最初怖がっていたが、 乗ってしまうと喜んでいた。いっしょに乗っていたおとうさんの顔が引きつっていたのは気のせい だろうか。

NEW YEAR'S PARTY

タイといえども大晦日。夜は、ホテルがNEW YEAR'S PARTYを開催するそうだ。 よくわからないが、別にお金を払わなくても参加できるようだ。プログラムを見ると、7:30から 翌朝1:30まで。これはなかなか気合が入っているだ。
7:30に会場に行くと、浜辺でカクテルパーティの真っ最中。蘭の花で作った首飾りと、フルーツの 入ったカクテルをもらう。おつまみを口にすると、辛い。さすがタイだ。 周りを見ると、お客の9割近くがヨーロッパのお金も持ち風で、思いっきり正装している。 Tシャツで単パン姿の私たちは、場違いを悟りつつも、この本格的なNEW YEAR'S PARTYに期待が膨らむ。 カクテルパーティが終わると、場所を広場に移す。そこは、さながら日本の夜店。ゲームあり、 お化け屋敷あり、映画あり。皆が子どもに帰って遊んでいる。 そして9時。ようやくメインパーティのスタートだ。予約した席につく。席には、花火やでんでん太鼓(?)、 クラッカー、三角帽など、新年のお祝いグッズが用意されていた。まさに至れり尽くせりだ。 メインステージでは生演奏が始まり、遅い食事のスタート。基本はブッフェ形式だが、半端じゃない。 炭火によるバーベキュー、下でとろけるようなローストビーフ、ほどよい辛さのタイ風カレー、 醤油やガリまで用意されたお刺し身、などなど、世界の料理が所狭しと並ぶ。本当においしかった。 10時頃からタイの民族舞踏。この頃には、あすかもゆうかも夢の中。 部屋に連れてかえって、再度パーティ会場へ。

カウントダウン

11時をすぎた頃、抽選会が始まった。手元の招待状の番号で、豪華景品があたるらしい。 夜も更け、参加人数は2〜3百人。最下位でも当たればラッキーとばかりに家族全員の招待状と にらめっこだ。次々と当選者が出ていよいよ2位の商品。英語なので何かわからない。 カウントダウンの時間が迫り、司会者は慌ててている。カウントダウンを撮影するために ビデオをまわす私。「The Winner is 3696・・・」えっ、当たった? 慌ててビデオを下ろし、 招待状見ると・・・ピンポーン。「おとうさん、行って行って!!」 商品は、タイのパタヤビーチにある系列ホテルの宿泊券。なんと4泊分だ。さすがに自分たち では来れないので、父と母にプレゼントすることにした。 そして、いよいよカウンダウン。「Three Two One ・・・」会場のライトが消え、突然夜空に 花火が舞う。そしてめいっぱい明るい音調の「蛍の光」(日本では卒業式の歌だが、本当は めでたい歌らしい)が鳴り響く。クラッカーを鳴らす人、シャンペンをかける人、キスする人・・・。 当然のことながら除夜の鐘は聞こえない。

タイ式マッサージ

休養を目的とした旅行なので、どこそこへ行きたいなどという「目的」は無かったが、 これだけは体験してみたかった。タイ式マッサージである。名前からして気持ちよさそうだ。 ホテルのビーチに寝そべっていると、緑の服を着たタイ人のおばちゃんが近づいてきた。 肩をもむジェスチャーをして「マッサージ、マッサージ」。ラッキーと思いつつ、一応「How mach?」 「3000barts」1000円強である。「Here?」「Yes」こりゃあ楽だ。「OK」商談成立。 私が使っていたビーチマットとビーチタオルをヤシの木の木陰に敷いてくれた。 水着のままその上にうつぶせに寝る。おもむろに水着の紐を下ろされ、背中が全部丸出しになった。 当然前も下ろされたので、胸も丸出し。うつぶせなのが救いだ。 ミント系のオイルを背中一面に塗りはじめた思ったら、指で力強く肌を擦り上げる。 痛いようで気持ちいい。丁寧に隅から隅までこの作業を繰り返す。時を見ては肩や首を揉む。 目をあけると目の前には芝生と砂浜。頭の上には青空とヤシの木。聞こえるのは波の音と 小鳥のさえずり。なんと平和な時間なんだろう。 ふと、マッサージのおばちゃんが仕事仲間とおしゃべりをする声が聞こえる。 これが日本語だと耳障りなんだろうが、タイ語だと意味が分からないぶん、南国の雰囲気を 盛り上げてくれる。何をしゃべっているのだろうか。今日のお客の話?それとも子どもの話? 想像するだけでも、楽しい時間が過ぎる。 作業場所はだんだん南下し、おしり、太股、足へと移動する。時には揉み、時には押さえ、 時にはこねる。そして、時には踏みつける。痛いと思う瞬間もあるが、その十倍は気持ち よいと思う瞬間がある。 体の裏一面を、30分弱かけてじっくり仕上げてくれる。次は表。えっ、胸が・・・。 と思う間もなく、ひっくり返された。まあ、いいか。ここは外国だ。かくして由利ママは 年がいも無く、ビーチでトップレス状態になった。 今度は足から北上。腕を終えると頭。すべて終えると、柔軟体操のような運動をして フィニッシュ。計50分ほどだ。 チップをプラスしても1500円ほど。これはなかなか良かった。病み付きになった私は 翌日もマッサージしてもらった。

食事

タイの物価はとても安い。父によると、私たちが泊まったホテルはプーケットの町中の10倍 ぐらいの物価だというが、そこのレストランで普通に食事しても、日本のファミリーレストラン より少し高いくらいだ。普通なら数百円あればリッチな食事ができるらしい。

気候

タイ、特にここプーケットのベストシーズンは、まさにお正月だ。タイは1年中暑い。 しかし「乾季」と「雨季」があり、この時期は乾季にあたる。暑くても雨が降らず、カラっと している。昼は日向は暑くて泳ぐに最適、日陰は涼しくて昼寝に最適、さらに夜は涼しくて ぐっすり眠れる、この上ない気候だ。 一方、いわゆる夏の8月は雨季に当たり、雨が多い上に、プーケットのピーチは波が 高くなり遊泳禁止が多くなる。プーケットに行くなら「冬」がおすすめである。

最後に

本当はもっといろいろ書きたいところであるが、これでも随分と長文になってしまった。 それほど海外旅行経験があるわけではないが、今回の旅行は本当に良かった。 一度「リゾート」を味わってみたい方には、ぜひともプーケットをおすすめしたい。 そのときの由利ママからのアドバイスは3つ。 「ランクの高いホテルに泊まる」「乾季に行く」「マッサージを体験する」以上である。


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